天皇誕生日に際しての総領事からのメッセージ

令和4年2月23日
Consul-General
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令和4年(2022年)の天皇陛下のお誕生日という良き日にあたり、心からお祝い申し上げます。
 
新型コロナの影響により、昨年に続き、本年も天皇誕生日祝賀レセプションの実施を見送らざるを得なくなったことは誠に残念ですが、本年は、メッセージの形で、祝賀のご挨拶をさせていただきます。
 
新型コロナウイルスがまん延したこの2年間は、インドと日本の双方にとってかなり困難な時期でした。現在、新規感染者数は減少しているようですが、マスクの着用や定期的な手の消毒、ソーシャルディスタンシングなど、まだまだ気をつけなければなりません。
 
天皇陛下は、本年1月1日のビデオメッセージにおいて、コロナウイルスの蔓延が依然として続いており、世界でも日本でも多くの人々がコロナウイルスによって命を落としていると述べられました。そして、陛下は、その方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々のケアに尽力された医師、看護師、医療に携わる方々に敬意と感謝の意を表されました。
また、天皇陛下は昨年東日本大震災から10年を迎えたことや昨年の自然災害にも触れられ、人々のたゆみない努力により、復興が進んでいるものの、その一方で多くの方々が今なお苦労を重ねておられることを案じておりました。さらに、昨年夏に開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会についても言及され、出場した選手や関係者の努力により、多くの人々に勇気と希望を与えたと述べられました。
 
新型コロナウイルスをめぐる状況は大変なもので、多くの尊い命が失われる結果となりました。御遺族の皆さまに心からお悔やみを申し上げます。時には暗い状況にも見えましたが、パンデミックを通じてのインドのワクチン接種活動の努力は称賛したいと思います。

本年は日印国交樹立70周年にあたります。正式には1952年、戦後インドが日本との平和条約締結したことに始まりますが、6世紀、インドの僧菩提僊那が東大寺の大仏の開眼供養を務めたことに始まり、現在に至っています。以来、両国の友好関係は深まるばかりで、その範囲は芸術、文学、経済などあらゆる分野に及んでいます。本年は、「Building a future for our Centenary」を日印国交樹立70周年事業のテーマに掲げており、あらゆる分野におけるインドの友人たちとの協力の下、100周年に向けて歩みを進めることができると心から信じています。
日本は長い間、インドに対する最大の海外開発援助(ODA)供与国でした。日本とインドの協力関係は、ムンバイ-アーメダバード間高速鉄道プロジェクト、ムンバイメトロ3号線プロジェクト、ムンバイ港湾横断道路など、多くのプロジェクトに表れています。経済分野だけでなく、人と人との交流を通じて、今後もこの協力関係を続けていければと思います。インドの労働力には未開発の大きな可能性があり、進学や就職のために日本へ行くという人が増えることを願っています。
 
新型コロナウイルスの状況もあり、まだ慎重にならざるを得ませんが、今後も人と人との交流を含め、日本とインドのパートナーシップを強化し、更なる高みへと引き上げていきたいと思います。
 
天皇陛下は、この辛い時期を互いに分かち合い、支え合って困難な状況を乗り越えられることを願うとともに、人々が明るい希望と夢を持って歩みを進めていくことができる良い年となることを祈られました。このお言葉を胸に、夢と希望に満ちた両国の明るい未来のため、日本とインドの関係を深めていくお手伝いをさせていただきたいと思います。
 
2022年2月23日
深堀 裕賢
在ムンバイ日本国総領事
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