レプトスピラ症とデング熱
モンスーン・シーズンがやってきました。 この時期になると最も気になるのが感染症の流行ですね。
昨日(8日)のタイムズ・オブ・インディア紙当地版によれば、本年雨期ムンバイ市内にて、レプトスピラ症(英語名:leptospirosis)が8年振りに流行する兆しがあるようです。
この病気は、スピロヘータ菌の一種であるレプトスピラ菌が起こす感染症で、感染すると高熱、激しい頭痛、悪寒等様々な症状を起こします。特に、他の病気と見誤り、適切な処置が遅れた場合、死に至ることもあるようです。ネズミだけでなく、犬や馬などの動物内に広く存在する菌ですが、雨期で増水した汚水が住宅に浸水した時に、ネズミの糞尿が溶け出し、その水に直接触れた住人が、皮膚の傷口や目鼻口の粘膜を通して感染するケースが多いと言われています。
この記事の要点は次のようなものでした。
1.昨日(7日)ムンバイ市関係者は、この一週間で12名がレプトスピラ症のために死亡したと述べた。死亡した者は12才児童を含め全て30才以下で、今のところGoregaonとDahisar地区に集中している。 2.同症は2005年と2007年のモンスーン期に大発生し数千人が発症、それぞれ、66名と79名が死亡している。 3.本年の特徴は、その死亡率が高いこと。7月1日から7日までにレプトスピラ症の陽性反応が出た患者21名のうち12名が死亡している。関係者は、原因の発見と適切な治療の遅れが今回の57%という高い死亡率に結びついたと推測している。 また、この記事では、モンスーン期をむかえ、デング熱患者数も増加していることも伝えています。
因みに、デング熱については、インド全体と同様にマハーラーシュトラ州でも公式報告数が年々増加し、昨年(2014年)は8,573件を数え、インド州別で最多を記録しました。(2013年:5610件、2012年2931件、2011年1138件)
ご承知の通り、デング熱はレプトスピラ症と異なり、有効な抗生物質がなく、また、蚊が媒介する感染症です。高層階に住んでいるのでレプトスピラ症になるような汚水に触れることはない、そのような汚い場所には絶対に行かない、と考える方でも、蚊が媒介するデング熱は、地上を歩いている時や車の中でも罹ることがある厄介な感染症です。この意味で、デング熱は在留邦人にとってより身近なリスクのある病気といえるでしょう。今年もその報告数の伸びが気になるところです。
いずれにせよ、早期発見、早期治療と十分な療養に努めましょう。
|