デッカン・オデッセイの旅

  3月になりムンバイの冬も終わり、日差しが少しきつくなった感じがします。

  2月末から週末を利用し「デッカン・オデッセイ(Deccan Odyssey)」と言う特別編成列車による3泊4日の旅に参加しました(列車がホテル代わりです)。同旅行はマハーラーシュトラ(MH)州政府観光局が観光振興のために企画したものです。「デッカン・オデッセイ」は7泊8日を基本としてMH州を中心に幾つかプログラムがあり既に運行されています。観光局の友人から同企画の印象を聞かれた際に私から、忙しい日本人観光客にとってインド7泊8日汽車の旅は長過ぎる、もっと短期間の旅が喜ばれるのではないかとアドバイスしたところ、期間を短くした旅を企画したと連絡があったものです。アドバイスした責任上この企画に参加してみました。

  インドでは、英国統治時代の1853年に最初の鉄道がムンバイに走って以来、160年が経っており、主要都市間はもちろんのこと全土に広がった鉄道の総延長は6万4千キロ以上と言われています。多くの一般市民にとって飛行機より運賃が安い鉄道はとても身近なもので、殊に長距離列車は切符の入手が難しいと聞きました。

  今回のデッカン・オデッセイは、MH州南部を巡る旅です。第一日目はムンバイのチャトラパティ・シバジ中央駅を南に向け夕刻出発し、一晩かけてゴア州に近いシンドゥドゥルグ(Sindhudurg)まで走ります。距離は約560キロですが、単線のため逆方向列車の待ち時間がかなりありました。第二日目は、シンドゥドゥルグ要塞(インドの英雄チャトラパティ・シバジによる砦)、タルカルリ・リゾート(観光局運営)、カルリ河のクルーズ、カシュー・ナッツ工場へのバスによる見学等が予定されていました。しかし実際は、最初のプログラムに時間を要したため河のクルーズが中止となり、次に工場見学は送電が止まり機械も動かないため操業が出来ずこれも中止となるハプニング続き、何ともインドらしいと言うか・・。その夜は車中泊で(ムンバイ方向に)ラトナギリ(Ratnagiri)まで列車で戻りました。第三日目は、ラトナギリ観光で、ティバウ・パレス(Thibaw Palace、19世紀末英国に反抗したビルマ国王が幽閉されていた場所)やアラビア海を見下ろす展望台を訪れた後、ガンパティプレー・リゾート(観光局運営)に宿泊です。その夜は、地元の若者による民族舞踊ショーがありました。素朴な踊りでしたが、若者が地域の伝統をきちんと継承している姿に少し感動しました。ガンパティプレー・リゾートのすぐ横には、幸運を運ぶと言われるガネーシャ神を祀る400年以上の歴史を誇る古い寺院がありますが、週末であったこともあり参拝客で溢れていました。インドは何処でもそうですが、寺院などにはいつも多くの参拝客が訪れており、人々の強い信仰心が伺えます。第四日目はガンパティプレー・リゾートからバスで昼過ぎに列車に戻り、ムンバイへの帰路につきました。

  各訪問地とも大都市ムンバイと異なり自然が豊かで、リフレッシュできました。MH州南部はカシュー・ナッツの生産が盛んな地域ですが、植生している実を初めて見ました。またタルカルリやガンパティプレー・リゾートは海に面しておりビーチもとても美しく、アラビア海に沈む夕陽の美しさは絶品でした。値段は少々高めですが、優雅な列車の旅を楽しみつつ、MH州を中心とする各地の遺跡や景勝地をゆったり巡る旅をお望みの方には打ってつけの企画であると思います。詳しい情報は「Deccan Odyssey」で検索可能です。

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