ゴア映画祭
11月第4週の週末、ゴアでの「国際映画祭」に出席するため初めてゴアに出張しました。ゴアはムンバイから飛行機で南に一時間ほど飛んだところにあり、海岸線に沿ってリゾート地帯が南北に広がる観光地区です。ポルトガルが切り開いた町でもあり、日本にキリスト教をもたらしたフランシスコ・ザビエルの棺を納めた歴史ある協会も残っています。家々の壁の色も青、黄色、白と鮮やかで南国風味一杯の町です。外国人の観光客も年間を通じて沢山訪れていますがこの時期ゴアの町は映画祭一色でした。
同映画祭はインド政府が唯一主催する国内最大の映画祭で、歴史も長く今年で第44回目を迎えます。ゴアで同映画祭が開催されるようになったのは2004年からだそうで、インド国内のみならず、海外から多くの作品が出展され、観客だけでなく多くのプロデューサーや映画配給業者も集まるため重要な映画ビジネスの場となっています。日本の映画界も、ハリウッドに対抗してボリウッド映画と称されるほどインド映画の人気が高く且つ12億の人口を有するインドを大きなマーケットとして見始めており、数年前から同映画祭に参加しています。特に今年は、メディアコンテンツ産業分野におけるにおける日印間の協力推進との観点から、9月12日に日本の経済産業大臣とインドの情報放送大臣が同意した共同声明に基づき、日本が今回映画祭の「フォーカス・カントリー」(いわゆる今年の注目国)として招かれ、12本の日本映画が集中上映されることになりました。
今回集中上映された日本映画は、「リアル 完全なる首長竜の日」(黒沢清監督)、「許されざる者」(李相日監督)、「はじまりの道」(原恵一監督)、「おしん」(富樫森監督)、「凶悪」(白石和彌監督)、「体脂肪計タニタの社員食堂」(李闘士男監督)、「八日目の蝉」(成島出監督)、「言の葉の庭」(新海誠監督)、「おおかみこどもの雨と雪」(細田守監督)、「図書館戦争 革命のつばさ」(浜名孝行監督)、「映画けいおん!」(山田尚子監督)、「GANTZ」(佐藤信介監督)でした。またこれらの作品とは別に、「そして父になる」(是枝裕和監督)、「じんじん」(山田大樹監督)も上映されました。私としては全部観たいところですが滞在時間の関係で1本しか観ることができず残念!でも映画館での観客の入り、反応は上々でした。
フォーカス・カントリーとしての日本は、ゴア映画祭に参加している内外の映画関係者を招きレセプションを開催するのが習わしのようで、そこで日本政府を代表してご挨拶するのが私の今回出張目的でした。同レセプションは11月23日夜に開催され、インド政府を代表し情報放送省のラグヴェンドラ・シン映画局長が出席された他、俳優・監督・プロデューサーとしてボリウッドでも著名なマノジ・クマール氏を始めとするインド映画界の方々や海外からの映画関係者も多数出席してくれました。また本映画祭のためにゴアを訪れていた「リアル 完全なる首長竜の日」の黒沢清監督ご夫妻、「許されざる者」の李相日監督も出席して下さり、映画制作の苦労話などを直接お聞きすることができ、映画好きの私としてはとても光栄でした。インドにおける日本映画の上映、日本でのインド映画上映の機会がますます増え、更には両国による合作映画が作成されるなど、映画を通じた両国国民の相互理解及び両国映画界同士の協力がますます進展するよう祈るとともに必要な支援をして参りたいと考えています。
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