アジャンタ・エローラ遺跡ビジター・センター開所式

  9月16日、アウランガバード市近郊にあるアジャンタ及びエローラ石窟遺跡のビジター・センターの開所式が行われました。アジャンタ石窟群はアウランガバードから北東約107kmにあり、紀元前2世紀から紀元後6世紀にかけて岩に掘り抜かれた仏教の塔院と僧院があります。また、エローラ石窟群は北方約26kmに位置し、5世紀から11世紀に亘る仏教僧院とヒンドゥー教、ジャイナ教寺院があります。両遺跡ともユネスコから世界遺産に認定されており、毎年多くの観光客が訪れるなどインドにとって重要な観光資源です。

  我が国は、両石窟及び周辺の石窟寺院群と自然環境を保護・保全し、インフラ整備、観光の質的向上のための人材育成を含むツーリスト・センター建設・運営などを通じ、総合観光開発及び地方開発を推進するための「アジャンタ・エローラ遺跡保護・観光基盤整備事業」に対し円借款を供与しました。同経済協力はフェーズ1(1992年12月~2002年3月)とフェーズ2(2003年3月~2014年7月)に分けて行われており、事業内容は、遺跡における観光客用の歩道の拡張や橋の建設、壁画・石材のクリーニングや照明設備設置といった遺跡保護のみならず、駐車場やバスターミナルの建設などの観光地整備、更には市内から遺跡への道路の拡張・舗装や空港施設の改善といったインフラ整備も含む総合的なものです。今回開所式が行われたビジター・センター整備はフェーズ2の目玉の一つでもあります。

  筆者はマハーラーシュトラ(MH)州政府の要請を受けアジャンタ石窟群ビジター・センターの開所式に出席しました。同開所式には、インド中央政府からChiranjeevi観光大臣、MH州からはChavan首相、 Bhujbal観光大臣が出席し、更に国会議員や州の議員、観光関係者多数が出席するなど、インド側の期待の大きさが表れていました。同式典には、ムンバイから仏教国の代表として韓国及びタイの総領事が出席し、また、我が国経済協力案件ということもあり、ニューデリーからJICA関係者も出席されていました。開所式では、テープカット、銘板の除幕、館内の閲覧が行われましたが、同センターでは、パネル展示、映像や模型、実物大の石窟のレプリカ等を見ながら、石窟の概要や歴史的位置づけ、見どころなどを知ることができます。実際の石窟見学の前に行かれるのがお勧めかも知れません。またセンター内にはカフェテリアも併設されています。

  夜にはアウランガバード市内の会場でビジター・センター開所記念式典が行われました。同式典では、州首相を含むインド側の全ての登壇者から、アジャンタ・エローラ遺跡保護及び観光促進事業への我が国の協力に対し、何回となく感謝が表明されました。皆様も機会がありましたら是非この世界遺産に一度足をお運び下さい。

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